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イラスト関係記事 自己添削のススメ

【ワンランク上の絵を目指す】トーンカーブはデジタル絵の強い味方【自己添削のススメ④】

このコーナーでは、ちょっと物足りない過去絵を修正・加筆しています。

イラストの物足りない点の見分け方、修正加筆の手順について、少しでもイラストを描かれる方の参考になれば幸いです。

今回のお題絵

オリジナル小説のイメージイラストとして描いた絵ですが、あともうちょっとなんとかしたいと思いました。

夕暮れのつもりが朝焼けに見えるし、リアル寄りな画面に似つかわしくないキャラクターのデフォルメ感が残念で気になって。

修正の考察

まず直しておきたいのは色合いです。

デジタル絵の一番の強みと言ってもよい修正方法をご紹介します。

使用しているソフトはPhotoshopCS2です。

まずレイヤーを一枚に統合した絵を複製します。

複製した絵を、イメージ→色調補正→トーンカーブで加工します。

RGBをいじってコントラストを上げます。

明るさ・コントラストでもコントラストはいじれますが、トーンカーブでいじったほうが自由度が高く、思い通りの仕上がりに持っていきやすいです。

チャンネルをレッドにしていじります。

必要に応じてグリーンやブルーもいじり、理想の色合いに変えます。

トーンカーブで物足りなければ、イメージ→色調補正→色相・彩度をいじってみても良いと思います。

色々色調をいじってみたレイヤーを重ねて、不透明度をいじったりして、より理想の色合いを探します。

レイヤータブの「通常」を他のものに変えると、色の混じり方が変わって思ってもみない色調になったりします。

色々やって、落ち着くところを探します。

今回はこんな感じに変更してみました。

雰囲気変わりましたよね。

次に、おかしなところを直します。

修正点は3点。
頭を小さくするとかは、デジタル絵では超簡単です。折れ線ツールで囲って縮めるだけです。

だいぶ直りましたが、もうひと息加筆します。

わたしはパースが苦手なので画面を分割して描くと、自己添削のススメ③で言いましたが、この絵は分割してない一枚絵です。

このような絵の場合、わたしは以下のように分割して考えます。

空や山の部分、空気遠近法で最も霞む部分は「遠景」

少しだけ霞む部分は「中景」

霞まないけど少し遠い所を「近景」

手前の部分を「最近景」

名前は適当です。

今回は4分割ですが、絵のクオリティによって2分割から5分割くらいまで使い分けています。

構図上、一番見てほしいところは「近景」で、普通はここか最近景にキャラを置きます。

キャラクターを並べるのが苦手なので、各ゾーンに一人ずつキャラクターを置くようにしています。そうするとデッサン狂いなど誤魔化しやすいです。

このように分けたゾーン同士の接続部に違和感があると、きれいな一枚絵に見えにくいのでそこを直します。

白線で囲ったところを直しました。

遠景の夕日を受けている感じに、中景の地面に黄色を足しました。

画面の左端が寂しかったので、最近景として石壁を足しました。

少しだけクオリティが上がった気がします。

ビフォーアフター

最終的にもう一度色調補正をして完成としました。

元絵よりだいぶ絵として見ごたえが出てきたように思います。

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【ワンランク上の絵を目指す】大きな絵は分割統治するとよい【自己添削のススメ③】

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イラストの物足りない点の見分け方、修正加筆の手順について、少しでもイラストを描かれる方の参考になれば幸いです。

今回のお題絵

これは本当に落描きで適当に描き始めたら、筆が乗ってきてここまで描いちゃっただけの絵です。

構図もわけわからないし、何描いてるのかすらわけわからないのですが、なにやら勢いだけはあるのでちょっと加筆してみるかと思い立ちました。

修正の考察

この絵について、まず気になるのは顔です。

あまりにも四角い頭。

さすがにあんまりなのでここに手を入れてみます。

マシになりましたけど、これだけではさすがにつまらないのでもう少し考察してみます。

②頭に奥行きというか、丸みが感じられないので平面的なイラストに見えます。これはこれで悪くはないのですが、もう少しリアルよりにしてもいいかなと思いました。

③頭に奥行きを出すのであれば、体も少し立体的に加筆するべきだと思いました。

④右半分は一体何を表現しているかが謎なので、もう少しストーリーを加えたいと思いました。

この方向性で少し手を動かします。

頭と体に立体感が加わることにより、背景にも立体感が出せそうな感じになりました。

右側に青味を加えることにより色彩の幅が広がり、汚らしい印象が無くなった気もします。

ここからひたすらに描き進めていくのですが、大きなイラストを描くときのコツとして、一枚の絵をいくつかの区画に分けて描くと楽に描けたりします。

たとえば今回のこの絵は、3つの区画に分かれていると考えると格段に描きやすくなります。

①の部分は俯瞰(上から見下ろした風景)です。アイレベルより下なのでここには思い切り俯瞰な背景を描きます。今回は地面に描かれた魔法陣のようなものを描きます。

②の部分はあおり(下から見上げた風景)です。アイレベルより上なのでここには思い切りあおりな背景を描きます。今回は空と飛んでいる龍を描きます。

③の部分は背景を俯瞰に描く事で前に突き出された手を表現する部分となっています。

境界部に線を入れたりあおりでも俯瞰でもない背景(獣のような生き物と、右上の人物のシルエット)を置くことで絵を繋いでいるため、3区画に分けても違和感は出にくいようになっています。

前々回でもこの手法は使っていました(ジェットコースターの線路で二つの区画に分割しています)

一枚の絵を一枚の絵として描くのが難しい、パースを苦手とする方にはこの描き方をオススメします。

ビフォーアフター

修正した絵がこちら。

初めの落描きよりはだいぶ絵として見ごたえが出てきたように思います。

なんかちょっと顔が微妙なので気が向けば加筆修正するかもしれませんが、とりあえずこれにてお終いとします。

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【ワンランク上の絵を目指す】パースの単純ミスを見つけ出せ!【自己添削のススメ②】

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今回のお題絵

サークルで描いていた漫画の2巻の表紙絵として描き下ろしたものです。

この絵に違和感を覚えたので修正します。

修正が必要なポイント

この絵について、描き上げた当時は特に違和感を感じていませんでした。

しかし数年経ってから見返してみると、なんだかおかしい。

目が大きすぎる?

頭が大きすぎる?

初めはそう考えていましたが、問題はそこではなかったようです。

赤ペンした結果が上記です。

主な原因は「カウンターの幅が狭すぎる」ことでした。

アイレベルがちょうどカウンターのすぐ上あたりのため、カウンターの板面を描きこむことができず、当時のわたしはその辺りを曖昧にしたまま描き進めてしまいました。

この状態ではカウンターの幅が食パン一袋分しかなく、

①後ろにあるっぽい食パンは多分半分落ちてる

②やたらと女の子は前に出てしまっている

③女の子の頭は前にあるはずなのに、電球の光が後頭部に当たっていないため、電球と女の子の前後関係が不明

という異次元が発生していました。

女の子のデッサンにはさほどおかしな点はないのに、違和感を感じていたのはそのためでした。

ビフォーアフター

修正した絵がこちら。

カウンターを食パン2袋分に広げ、女の子を後ろに下げました。

電球と女の子の前後関係がクリアになり、だいぶおかしな点は解消されたと思います。


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【ワンランク上の絵を目指す】小さな絵を大きく描き直す・後編【自己添削のススメ①】

イラストレーターの里華です。

前回の続きです。

※使用ソフトはPhotoshop CS2です。


前半のあらすじ

お題絵。これをポスカサイズに広げます。

 

ここまでやりました。

パーツを散らばらせ、余白を埋める算段を付けれたところまでが前編の内容でした。

詳細は以下記事にあります。

STEP4 イメージを固める

置いておいただけの馬とジェットコースターを具体的にしていきます。

馬の右側の辺りの水がどうも具合がわるいので、氷と水に分けることにします。

水面の位置がはっきりしたので、後ろの背景と前の女の子が馴染んできた気がします。

水が浅いことをはっきりさせるため、女の子の爪先と床のチェック模様を描きました。

全体的なバランスが良くなってきましたが、まだ少し女の子の後ろのあたりが少し寂しいような気がします。

クジラの像を描き足してみました。

同時に水底やらジェットコースターも整えています。

この作業のときにあまり詳細は描き込まないほうがいいんですが(全体的にピントがあっていくように仕上げていくのが望ましい)、わたしはどうしてもイメージを固めたくて部分的に描き足していっちゃいます。

大体のアイテムの配置が終わり、バランスの調整も終わり、色味の調整も終わったので、ここからひたすら仕上げを意識して描き込みます。

 

STEP5 描き込む

この作業はひたすらしんどいです。

仕上げといっても、明確な終わりがあるわけでもなく、自分が納得するか飽きるまで続けます。

いつもわたしはSTEP1~4は作業時間の半分くらいで終わり、あと半分はSTEP5をやっている感じです。

虹色の階段の存在感が埋没していたので、色調を明るくして浮きだたせます。
後ろの空間の奥行きが感じられるようになりました。

女の子の上のあたりを仕上げています。ここだけが暗く描き込みが少なかったので、光などを浮かせて豪華にします。

女の子の体のバランスが悪かったので、試行錯誤しました。

このあたりでわたしの集中力が限界を迎え、無理矢理仕上げる道へと向かいます。

 

完成!

女の子の上のあたりがまだ書き込みが少なく浮いている感じがしますが、今の私の力ではここが限界だと踏んで、完成としました。

またいつか、気が向いたら加筆するかもしれません。

ポストカードには綺麗に印刷できました!

 

参考図書

今回のイラストを描くために購入した資料が上記です。

廃墟になった色々な遊園地の写真が載っています。

廃遊園地をテーマにイラストが描きたい方にオススメです。


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【ワンランク上の絵を目指す】小さな絵を大きく描き直す・前編【自己添削のススメ①】

イラストレーターの里華です。

十数年前からのそのそとイラストを生産してきました。

今まで本当にたくさんのイラストを描いてきたのですが、イラストを生産する過程で、

「落書きのつもりがなかなかうまく出来た」

「この絵、構図のアイデアはいいんだけどなぁ」

みたいな残念な絵が生まれることってよくあるんじゃないかと思っています。

今回はそんな残念な絵を、サイトのメインに貼れるようなちゃんとした絵に仕上げてみた例を紹介させていただきたいと思います。

絵師を志す皆様の何かの参考にしていただけたら幸いです。

※使用ソフトはPhotoshop CS2です。


今回のお題

このイラストは、とあるサークルに寄稿するために描いたものです。

そのサークルで求められていたのは、500ピクセル×500ピクセルの小さなイラストで、そんなに手の込んだものである必要がありませんでした。

なので気楽な気持ちで好きなものを詰め込んでみたら、結構色合いの面白い絵が描けたなと、一時期とても気に入っておりました。

しかしこんな小さな絵だと、ネット画面で見ることしかできません。(印刷するととても小さくなってしまうのです)

なので、このアイデアを用いて、あたらしいイラストを描くことにしました。

できたら、ポストカード印刷に堪えるサイズで……。

 

STEP1 大きなサイズに

絵の大改造の最初の手順は、絵のキャンバスを大きくすることです。

切り抜きツールを使い、イラストからはみ出すように切り抜きます。

ポストカードにも使えるように、横長サイズに広げます。

それから、絵の解像度をいじります。

Photoshopだと、イメージ→画像解像度 です。

元々のイラストのサイズはこれでした。

解像度300はそこまで悪くない値ですが、500ピクセルはめちゃめちゃ小さいです。

手っ取り早く解像度を600まで上げました。

3000ピクセル程度あれば十分です。

ファイルのサイズとして20Mバイトもあれば大丈夫でしょう。

重すぎると性能の悪いパソコンだと動きが悪くなります……。

 

STEP2 パーツを散らす

絵を大きくする上に縦横比も変わるので、大幅に描き変えないといけません。

しかし折角の良い構図なので、あまりイメージを変えたくありません。

どうするかとりあえず手を動かしながら考えます。

レイヤーを右クリックなどして複製を取っておくと安心です。増やしたレイヤーを切り刻んで画面に広げていきます。

レイヤーの複製
多角選択で移動したいパーツを区切り
移動ツールで動かします

こんな感じかな。適当です。

見やすいように背景に暗い色を置きました。

 

STEP3 アイテムの追加

現在は中央部がスカスカです。どうにかしないといけません。

アイデアを出すために手を動かします。

適当に過去絵の馬を置いたりしてます。

過去絵

割と私がよくやる手法で、昔のイラストや写真素材などをぶっこんで様子を見ます。

廃遊園地のイメージを入れたいので、ジェットコースターの線路っぽいもので、キノコのある幻想世界を区切りました。

このおかげで、左上のゾーンとその他のゾーンという、2区画となる構図がイメージできました。

女の子の顔を描き変えます。元絵の子は人様のキャラクターですので、そのまま使うことはできません。

どうにもうまく女の子と背景がなじまないので、水の部分を向こうまで広げたりしてます。

しかし、どうも馬がしっくりきません。

どこからか拾ってきた馬の写真をぶっこんでます。最後にはちゃんと自絵に置き換えるので許してください。

後ろに壊れたジェットコースターなど置いてみました。

意外と良い感じだなと思ったので、大まかな構図はこんな感じで決定することに。

 

~後編に続きます~